2010年5月9日日曜日

Googleが変える検索文化と翻訳文化

下の記事は、Lifehackerの「Android用ビジュアル検索アプリ『Google Goggles』に翻訳機能が追加 」および「Android携帯で写真検索できる「Google Goggles」、何でも解析っぷりはスゴイ(動画まとめ)」に基づき、私なりに情報を少し追加したものです。皆さんもどうぞLifehackerをご購読ください。



■AppleもクールだがGoogleは恐ろしいぐらいクール

世間ではiPadが話題になっていますが、私は別に天邪鬼を気取るでなく、正直iPadにはあまり食指が動いていません。ある程度のウェブアクセスでしたらiPhoneでできますし、それ以上の機能を求めるならむしろ今年の後半に出ると言われているGoogle Chrome OSのネットブックを買おうと思っているからです。

(Google Chrome OSに関する3分半の短いプレゼンテーション)



(Google Chrome OSに関する11分のプレゼンテーション)


私はアップル社は好きですが、それ以上にグーグルがすごいと思わざるをえないのは、グーグルが理念に基づき、徹底的に抽象的な思考革命をなしとげ、それをシンプルなデザインと快適なユーザーエクスペリアンスに実現させるからです。(関連記事:Googleから目が離せない




■美学のアップル、理念のグーグル、既得権益のマイクロソフト

岡嶋裕史 (2010)『アップル、グーグル、マイクロソフト - クラウド、携帯端末戦争のゆくえ』(光文社新書)の内容を私なりに強引にまとめますと(曲解にご注意)、

アップルはスティーブ・ジョブスの美学に基づく組織である
グーグルは理念に基づくネットワーク的集団である
マイクロは既得権益を守る会社である


となろうかと思います。

ですからアップルは独自の美学を持ち続けさらに発展させています(それだけにスティーブ・ジョブスがいなくなるとどうなるのだろうと思わされます)。

一方グーグルは、彼らの理念

Google's mission: to organize the world's information and make it universally accessible and useful


に基づき、ラディカルに発想し行動しますから、そのプロダクトは本当に世界を変えるぐらいのインパクトをもっているかと思います(それだけに、グーグルが理念に基づき暴走し、なおかつ自分たちは"Don't be evil"のモットーに基づき行動しているので悪をなしうるはずがないと思い込んだ時にもたらすかもしれない破局的災厄は恐ろしいとも思えます。ネット覇権への警鐘としては、例えば岸博幸 (2010) 『ネット帝国主義と日本の敗北―搾取されるカネと文化 』(幻冬舎新書) などをご参照ください。)



マイクロソフトに関しては、このブログの読者ならご存知のように(笑)、正直私はまったくいい印象をもっていません。上記の本からも、マイクロソフトを動かしているのは、Windows95以来築き上げた既得権益体制を守ることに過ぎないのではないかといった印象を得ました(関連記事: Too much success in the Past)




■「検索」(search)の概念をGoogleが創り、さらに変えた!

知的生活において、私はもはやGoogleなしの生活は考えられません。現在私が行っている教育・研究活動をGoogleなしで行うことは不可能です。

Google以前の時代は、


BG (Before Google)


と呼びたいぐらいです。

Googleが創り出した「検索」(search)の概念そして文化は世界を変えたと言えるでしょう。


しかしGoogleは、携帯端末OSのAndroidにおいて -- 3月に友人と、広島市のドコモショップに行ったら、そこの店員がAndroidという言葉を知らなかったので私はびっくりしました。 --さらに検索の概念と文化を変えようとしています。Google Gogglesのvisual searchの技術です。


これまで「検索」とは、キーボードでタイプした語をウェブ上で探すものでした。最近ではキーボード入力の代わりに自動音声認識入力もできるようになっていますが、Google Gogglesのvisual searchはそれをさらに徹底させ、携帯端末で捉える現実世界の写真をそのまま入力とし、それに相当するものをウェブ上で探すというものです。

(Google Gogglesの2分間プレゼンテーション)



Google Gogglesのテキストでの説明はこちら


これでさらに私たちの生活は大きく変るのではないでしょうか。



■写真で撮った言語を自動翻訳してくれる!

さらに驚くべきは、携帯端末で撮影した画像の中に含まれる言語表現を自動翻訳するという技術です。


Translation in Google Goggles Prototypeの2分間のプレゼンテーション



Google Mobile Blogでのtranslationに関する説明はこちら



私が授業の機会を使って、書き言葉についてお話させていただいた際の質疑応答で、「外国語教育において書き言葉が重要だというのはよくわかったが、それならなぜ日本だけでなく世界中で外国語教育が話し言葉中心になっているのだろう」という疑問がある院生から出てきました。


私のとっさの答えは「外国語教育がもっぱらmass educationになったからではないか」というものでした。

もしそうだとするとこういった簡単で便利な自動機械翻訳は、外国語教育に関するmassの需要や認識を大きく変え、やがては外国語教育の体制も大きく変るのではないでしょうか。自動機械翻訳が人間の簡単な語学力に完全に取って代わることはないにせよ、そのかなりの部分を支えるようになるのではないでしょうか。(関連記事: 自動機械翻訳の実用化、言語コミュニケーション教育の新しいデザイン)。


少なくとも私はその可能性をしっかりと視野にいれて、今後の英語教育を考えてゆきたいと思っています。



追記1

Google apps for educationの展開からも目が離せません。


追記2

上記のGoogle Gogglesのvisual searchは、iPhoneアプリもある程度できるようですが、先程iTunes Storeでチェックしたら、まだ日本では入手できないようでした。









【個人的主張】私は便利な次のサービスがもっと普及することを願っています。Questia, OpenOffice.org, Evernote, Chrome, Gmail, DropBox, NoEditor



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