2010年10月3日日曜日

Google Reader + Twitter + Evernote + Chromeの相乗効果が創り出す新しい知の生態系

[この記事は、「英語教師のためのコンピュータ入門(2010年度)」のためにまとめたものです。一部の情報は以前の記事と重複しています。]



Google ReaderとTwitterとEvernoteとChromeを併用することにより、新しい情報と知識の生態系ができるということをこの半年で学びました。ここではその簡単な説明をします。

※ Google Readerは、2013年半ばでサービス停止となります。
(このGoogleの姿勢に対する批判記事はThe EconomistのGoogle's Google Problemにあります)
Google Readerの代わりとしてはFeedly (http://www.feedly.com/)がよく使われているようです(私も使っています)。


これらのソフトの相乗効果が生み出す新しい知の生態系は、今まででは考えられなかった莫大な量の情報を個人が処理することを可能にします。それに応じてあなたの知識の質は高まります。さらにそうして得た情報・知識を迅速・簡便に他人に伝えることができます。そうやって情報・知識の質の高まった仲間が集まると、さらに知の相互作用が生まれ、情報・知識のコミュニケーションは高度化します。これが新しい知の生態系です。

新しい知の生態系は、よりよい社会を創り発展させるための強力な動因となることができます。ぜひ学生の皆さんも、この新しいICT(Information Communication Technology)の使い方を覚えて、充実した知的生活を送ってください。



■Google Readerで自動的に情報収集

Google Readerは非常に便利なサービスです。「ウェブで英語を自学自習し、豊かな文化社会を創り上げよう!」の記事でも書きましたが、気になるブログ・ホームページをsubscribe(購読)することで、自動的にそのサイトの更新情報を得ることができます。

以前は、お気に入りのサイトをブラウザーのブックマークに記録しておいて、頃合いをみて更新を確かめるというのがウェブから情報を得る方法でしたが、それは無駄が多く時間がかかるやり方です。ですから多くのサイトをチェックすることもできません。

ですがGoogle Readerを使うと、情報は勝手に集まります。私はある時ある方にお世辞で「情報収集能力がすごいですね」と言われましたが、私の得る多くの情報はGoogle Readerが勝手に集めてきたものです。私が行うことは情報を収集することでなく、むしろ情報を捨てること(=選択すること)です。

現在私は345のサイトをGoogle Readerでチエックしています。好きな時間にGoogle Readerが集めてくれておいた情報を「List形式」でチェックします。これだとサイトの見出しだけを目次形式で見るだけですから、一日おそらく700~800以上のサイト更新を手軽にチエックすることができます。

気になるサイト更新にはスターマークを付けておき、それをまた好きな時間に読みます。読んで面白いと思った情報は、下でも説明するTwitterで流し、同時に個人データベースであるEvernoteに保管します。

以下はビデオによる使用方法の説明です。英語による説明ですが、英語字幕を出すようにYouTubeを設定すれば(画面右下の△アイコンをクリックし、CCで調節)容易に理解できますので、まだGoogle Readerを使っていない人はどうぞ使い始めてください(最初にGoogle accountを取得することが必要です)。


・Google Readerの基本的な使い方






・Google Readerの応用的な使い方





情報収集は以下に説明するTwitterでもできますが、Twitterは過去の情報がすぐになくなったりするので、安定した情報収集をすることが必ずしも容易ではありません。それに大量の情報の通覧性は、TwitterよりもGoogle Reader(List形式)の方がよいです。購読・フォロー先の管理もGoogle Readerの方が便利です。Google Readerをお勧めする次第です。




■Twitterを情報伝播メディアとして使う

「情報伝達のためのTwitterを始めました」でも書きましたように、私は自分が今何をしているか・何を考えているかとかいった「つぶやき」をするためにはTwitterは使いません(「つぶやき」はMixiでやっています)。Twitterは有益な情報の伝播のために使います。

Twitter: 10 Psychological Insightsという記事によれば、80%のTwitter使用者は"Meformer”で、自分(Me)のことばかりをつぶやいています。残りの20%が"Informer"で彼・彼女らは重要と考える情報の伝播・共有およびそれに基づくコミュニケーションのためにTwitterを使っています。私はInformerであることを選び、tweetのほとんどすべては、情報の見出しとその出典のURLを掲載したものにしています。

Twitterという言葉は、もともと"the chirp of a small or young bird" (Compact Oxford Dictionary)からの転用ですから、私はTwitterは、何だか内閉的な「つぶやき」よりも、文字通り「さえずり」と訳した方がよかったと思っています。小鳥がさえずるように、よい情報は喜びと共に仲間に伝え、悪い情報は警戒しながら短く伝える、といったイメージの方がTwitterの実情に合っているとも思います。

ですから私はTwitterでは、Meformerの方は一切フォローせず、Informerの方だけをフォローしています。人間関係の維持からすればフォローされたらこちらも「フォロー返し」をするべきなのかもしれません。ですが、私は(冷たい、生意気、傲慢だと思われようとも)そのような関係はTwitterでは一切結ばずにInformerだけをフォローしています。Twitterでは時に数百人、あるいは数千人をフォローしている人もいますが、そのように多くの人をフォローしたら、少なくとも私はとてもその人達のtweetをまともに読むことができません。ですから私は多くの方をフォローすることはしません。まずはMeformerの方々をフォローすることを断念しています。

そうしてフォローするのをInformerに限ったとしても、フォロー数が増えてきたらとても追えません(Twitterにかまけて仕事や私生活が乱れては本末転倒ですからね)。以前、私は200人程度をフォローしていましたが、そうなるとちょっとTwitterを覗かないでいると、古い未読のtweetが消えてしまうぐらいになりましたので、思い切ってフォロー数を減らし、今は100以下にしています(減らすには忍びないフォロー先は「List」に残しています)。

残っているInformerは、私にとっての貴重なSocial filiterです。これらのInformerが伝えるのなら、きっと価値がある情報に違いないと私は前提することができるからです。実際、私がGoogle Readerの見出しだけで判断して読まなかった記事も、私のInformerがtweetしていたら読むようにします。

またInformerが面白いと思ってretweetしてくれる情報も私にとって貴重なものです。Informerの個人的な好みは、私にとって適した変異要因です。私自身が選択することはないだろうが、この人達が選んでいるのだから読んでみようかという情報であるretweetは、私の世界を広げ、私の視野が固定化することを防いでくれます。

私がフォローしているInformerの方の中には私をフォローしてくださる方も時にいらっしゃいます。そういった方々とのmessage交換やreplyでのコミュニケーションは、twitterがなければ実現しなかっただろう本当に貴重な体験です。

より良質な知の生態系を創り上げるため、私は自分で面白いと思ったtweetは積極的にretweetするようにしています。もちろんGoogle Readerなどで見つけた情報、友人から電子メールなどで教えてもらった情報も積極的にtweetしています。小鳥が仲間の歌を聞いて、自分もその歌を歌う仲間になるようなイメージです。もちろんむやみやたらと(re)tweetしていたら、私の発信能力の質を疑われますから、私としては自分なりに吟味してからしか(re)tweetしていないつもりです(笑)。可能ならば見出しだけでなく、印象的な表現も引用して出典URLと共に(re)tweetしています。

また、Twitterの面白いところは140字という制限があるところです。この制限内に、的確かつ印象的に他人に情報を伝えるにはどうすればよいかと考えると、情報を要約しその見出しをつける力が養われます。引用先の文章から引用するにせよ、どの文を選ぶか、また140字を超える文はどこをどう削るかなどの編集作業は非常にいい知的訓練になります。この訓練は研究発表にも授業展開にも使えます。Twitterで楽しみながら力をつけてください。

私はこのような情報伝播メディアとしてのTwitterに大きな可能性を見出しています。もし既にMeformerとしてのTwitterアカウントを作ってしまったのだったら、もう一つ新たにアカウントを作り、それをもっぱらInformerとして使用することも考えられます(あるいは私がそうなのですが、MeformingはMixiなどに任せて、Twitterはinformingに特化することも考えられます)。みなさんもぜひ試してみてください。




■EvernoteはEver(万能)なNote(データベース)

このように私はGoogle ReaderとTwitterで大量の情報を処理していますが、これだけのこともEvernoteがなければやっていないと思います。私は好奇心が強い方ですが、好奇心を満たすだけにこれだけのことをやることはさすがにないでしょう。大量の情報も、Evernoteに丸ごと保存でき、しかも後でそれを楽に検索できるからこそ私は大量の情報を処理しています。

Evernoteとは簡単にいえば、いつでもどこでも何にでも(Ever)使える万能のデータベース(Note)をつくるサービスです。以前「Information/Knowledge ManagementのためのEvernote」という記事で詳しく説明しましたので、この記事ではそこに書かなかったことを二つだけ書きます。

一つは「PrtScn」による画像キャプチャー(取得)の便利さです。キーボードの右上には「PrtScn」というボタンがありますが、それをEvernoteをインストールしたコンピュータで押してください。薄い十字が現れますから、それを移動させてキャプチャーする範囲を設定してください。設定してクリックしていた指を離せば、その瞬間に画像はあなたのEvernoteの中に入ります。そこからさらに画像ソフト、ワープロソフト、プレゼンテーションソフトにその画像をコピーすることは非常に容易ですから、画像を使った説明をすることが非常に楽になります。この「PrtScn」による画像キャプチャーの方法はぜひ身につけてください。

もう一つは、Evernoteで作成するタグ(tag)についてです。Evernoteには検索エンジンがありますから、情報を片っぱしからEvernoteに放り込むだけでもいいのですが、後々情報を活用する時には、一つ一つの情報にタグを付けておく方が便利です。

タグ(tag)とは情報につけるメタ情報です。つまり「この情報は、大きく言えば○○のカテゴリーに属する情報です」という札です。Evernoteは一つ一つの情報にこのタグを複数でも自由に簡単に付けられますから、これを使わない手はありません。

Evernoteはほとんどの作業を自動的にやってくれる優れたサービスですが、このタグ付け、およびタグの構造をどうするかだけはあなたが決定しなければなりません。タグ構造をどのように作るかで後々のデータ活用が便利にも不便にもなります。もちろん後からタグを付け直すこともできますが、情報が多くなると、いちいち付け直すのも面倒くさいので、ある程度の見通しをもってタグおよびタグ構造を決めておいた方がいいかと思います。

とはいえ私自身もタグとタグ構造に関しては試行錯誤しながら自分のシステムを進化させているというのが実情です。以下に私の例をお見せします。私はこのように最大限三階層にするタグ構造を使っています(情報が多いカテゴリーはニ階層より三階層にする方が何かと便利です)。何らかの参考(あるいは反面教師)にしてください。









■Chromeの拡張機能は本当に便利!

これらGoogle Reader、Twitter、EvernoteはどれもiPhoneのアプリで使えるので(もちろんAndroid携帯でもiPadアプリでも可)、知の生態系の維持は外出先の数分間の空き時間でも容易にできます。しかしやはりきちんとしたパソコンを使う方が確実に便利です。そして私の場合「きちんとしたパソコン」とはブラウザーのChromeが使えるパソコンのことです。逆に言えば、Chromeが使えれば私はそれ以上の性能はあまり求めません(だから私は数秒で立ち上がり、Chromeブラウザーを高速で使えるOSとしてのChromeの登場をずっと期待して待っています。当初の話では今年の秋に発表されるはずなのですが、この原稿を書いている現在では発表はありません)。

話をブラウザーとしてのChromeに戻します。私がブラウザーとしてのChromeを好むのは、何より高速であること、Google検索との親和性が高いことですが、Chromeには拡張機能(Extensions)を加えることによりさらに機能性が高まります(なお、私はアプリケーションの表示は日頃英語にしていますから以下も英語の用語を使って説明します)。

Extensionsを入手するためには、Chrome画面の右上にあるスパナのアイコンをクリックし、Tools→Extensionsと進み、(右下にある)Get more extensionsをクリックしてください。ここからいろいろなextensionsを自分で選べばいいのですが、ここでは私が重宝している(というよりこれらのextensions抜きのパソコン操作は考えられない)extensionsを五つ簡単に紹介します。以下、これらのextensionsをインストールした場合の昨日について書きます。


(1) RSS Subscription Extension
https://chrome.google.com/extensions/detail/nlbjncdgjeocebhnmkbbbdekmmmcbfjd

Google readerで購読したいサイトを見つけたら、このアイコンをクリックします。それだけで購読が始まりますから便利です。(時にこのアイコンが出ないサイトがあります。その際はGoogle Readerの操作画面から購読をしてください)


(2) Google Share Button
https://chrome.google.com/extensions/detail/idaeealfhcijmeigljaopafdapgijdcb

Twitterで他の人に知らせたいサイトを見つけたら、このアイコンをくりっくしてください。それだけでTwitterで情報伝播できます。そのサイトの見出しと短縮URLは自動的に付けられます。多くのサイトにはTweetあるいはRetweetあるいはこのアイコンと同じShareが用意されていますから、そちらをクリックしてもいいのですが、しばしばこちらのGoogle Share Buttonの方がうまく見出しをつけ、URLを短縮してくれますので、私はこれを愛用しています。


(3)Clip to Evernote
https://chrome.google.com/extensions/detail/pioclpoplcdbaefihamjohnefbikjilc

あるサイトをそっくりそのままEvernoteに移したい時には、このアイコンをクリックします。小画面が出ますので、そこでタグを指定して(オートフィルがあるのでタグ付けも簡単)SAVEをクリックすればサイトはそのままあなたのEvernoteに保管されます。見出しもURLも自動的に付けられますから本当に便利です(ただし小画面でClip full pageをクリックしておくことを忘れないでください。さもないと見出しとURLだけしか保管されません)。

またGoogle ChromeのExtensions画面で、このClip to EvernoteのOptionsをクリックし、Use Simultaneous Searchも選択しておいてください。そうするとそのパソコンでGoogle検索すると自動的にあなたのEvernote検索もしてくれます。その便利さが今ひとつわからない方はEvernote と Google の「同時検索」機能。その意味とは?の記事を読んでください。

※もしこの機能がうまくゆかなかったら、単にコピー・アンド・ペーストで欲しい情報をEvernoteに貼りつけてください。それだけでも冒頭文が自動的に見出しになり、URLも自動的に掲載されますから便利です。



後の二つは、「ウェブで英語を自学自習し、豊かな文化社会を創り上げよう!」で説明しましたので、名前をあげるだけにしておきますが、本当に便利ですからぜひ自分のパソコンにインストールして活用してください。

(4) Google Dictionary on Chrome
https://chrome.google.com/extensions/detail/mgijmajocgfcbeboacabfgobmjgjcoja


(5) Google Translate on Chrome
https://chrome.google.com/extensions/detail/aapbdbdomjkkjkaonfhkkikfgjllcleb




以上、Google Reader + Twitter + Evernote + Chromeの相乗効果が創り出す新しい知の生態系について説明しました。この他にもどんどん皆さんの創意工夫でコンピュータを使いこなしてください。

Computer for Communication and Community ― コンピュータ使用を通じて皆さんが幸福な社会生活が送れますように!


追記
Facebookは、Twitter以上の使用人数をもっている世界的なサービスで私も一応アカウントは保有していますが、私はどうもこのサービスが本当に狙っていることがわからないので使用は控えています(またインターフェイス(interface、使い心地)もいいものとは思えません)。これだけテクノロジーが発達しても、根本のところで大切なのは、どのように他者をもてなそうとしているかだと私は思っています。創業者のことばと使い心地こそは、そのサービスがいかに他者(つまりは利用者)をもてなそうとしているかについての端的な表現ですから、私はそれらに納得できないサービスを使うつもりはありません。






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