2012年4月24日火曜日

「教養ゼミ」での学部一年生へのメッセージ





■最初に柳瀬の自己紹介
・授業:1年生にはコンピュータを使った自学の方法、2年生には実践的な学習英文法、3年生には語用論とコミュニケーション能力論、4年生にはグローバル英語論を題材としたスピーチ実践を教える。大学院ではCritical Applied Linguistics, Alternative Approaches to Second Language Acquisitionなどを教える。
・研究:コミュニケーション能力論、語り・ナラティブ、英語授業の質的分析、意識と身体、その他哲学的アプローチでの探究。
・影響を受けた学者:ルードヴィッヒ・ウィトゲンシュタインハンナ・アレントニクラス・ルーマン。 
・尊敬する人物:山岡鉄舟リチャード・ファインマンヨーゼフ・ハイドン。 
・趣味:武術、音楽鑑賞、読書、映画鑑賞、お笑い。 ・その他は私のMixiプロフィールを御覧ください(ただし、私は学生さんとはMixi, Facebook, Twitter, Google+などのSNSでは「友達」などにはなりませんのであしからず)。
・連絡方法:メール(yosuke@hiroshima-u.ac.jp)を歓迎します(スペルミスに注意!)。 
・面談方法:5分で済む用事ならいつでも研究室をノックしてください。ゆっくりお話を聞くべき用件に関しては、お互いにとって都合の良い時間帯を 予め決めさせてください。なお、携帯メールやTwitterなどの短文メディアで「大学の勉強ってどうすればいいんでしょう」などいう、じっくり話し合うべき事柄を質問することはやめてください。


***以下、学部一年生へのメッセージ***





■稚心を去れ

・稚心の例1:周りに依存し期待ばかりして、自らは動けない。 
・稚心の例2: 周りのことをないがしろにし、自分の野心にばかり拘る。 
・稚心でない例1:自ら動き、周りを活性化する。 
・稚心でない例2:自らを信じ、他を敬する。その結果、他にも敬せられる。 
・要は「お子ちゃま」になるな、ということ。 
・新卒教員のいくつかの例:「自分が育った文化と全く異なる学校に赴任して戸惑う」。「授業がまったく成立しない」。「生徒とどう関わっていいかわからない」。「保護者とのコミュニケーションに苦労する」。「同年代同僚が少ない職場でコミュニケーションが取れない」。「職場でのつきあいを断り一人で物事を抱え込むようになる」。「マニュアルがないとどうやって仕事をしていいかわからない」。「失敗したり注意されるとすぐめげる」。「褒めてもらえないのでヤル気をなくす」。「仕事を終えられず毎日睡眠不足で心身ともに追い込まれる」。
参考: 埼玉県立越ヶ谷高校長の日誌 http://www.koshigaya-h.spec.ed.jp/index.php?active_action=journal_view_main_detail&post_id=287&block_id=449&comment_flag=1#_449

■主体性を取り戻せ
・自分の人生は自分で責任をもて。(変えられない「宿命」の機縁を活かして「運命」を定める) 
・自分の心身で納得することを怠るな。「先生~、これでいいんですかぁ~」という間の抜けた声で他人に判断を委ねるな。抽象的な理解も究極のところは冷暖自知である。 
・他人の評価ばかり気にするな。まず、自らのからだで納得できるかどうか吟味せよ。 
・単位と成績を学びの指標とするな。心身の感性を働かせよ。成績がいいから、学びが深いというわけでは必ずしもない(どんな試験にも小手先のテクニックというものはある)。 
・カリキュラムを過信するな。自ら学びたいことはどんどん学べ。ただしカリキュラムを無視するな。 
・まずは身体を整えろ。文字通りのからだの姿勢が駄目なら、心の姿勢も衰える。あるいはからだが歪めば、心も歪む。 
・浮き足立つな。地に足をつけろ。ただし地面にへたり込み横着を構えるな。 
・"Always make a new mistake. But try not to repeat an old one."
関連記事: ヘラヘラして勉強しない若者へのおじさん的おせっかい  
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2008/04/blog-post_30.html 
優秀な成績で卒業しながら・・・  
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2008/05/blog-post_5095.html 
欠陥商品としての「考える」こと 
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2008/05/blog-post_16.html 
身体を整えて、心の苛立ちや不安を鎮めましょう 
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2011/03/blog-post_16.html 
椅子を換えたら姿勢が変わり、姿勢が変わると・・・ 
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2011/01/blog-post.html

■師を尊ぶも、頼るべからず。
・親切な教師がやってきて、手取り足取り、一から十まで教えてくれることを待つな。学びの主人は自分だ。 
・教師に言われたことだけをやって、ほめてもらうことが学ぶことだなどと思うな。 
・単位にならないこと、評価されないことは学ばないという愚かな「受験テクニック」を捨てよ。 
・「師が月を指すとき、愚者は師の指を見る」。 
・教わり上手、教え上手になり、学びの場を自ら作れ。 
・尋ねる前に調べろ。調べる前に考えろ。からだを動かして考えろ。
関連記事: 考える・調べる・尋ねる 
http://yanaseyosuke.blogspot.com/2009/04/blog-post_13.html 
岡野雅行さん:自分の頭と手で考える 
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2010/10/blog-post_07.html

■大学での学びは、あなた一人が買った「商品」ではない。
・学校はディズニーランドではない。
関連記事: 授業に対して国立大学教員が有している金銭的責任 
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2010/10/blog-post.html 
参考: クローズアップ現代「奨学金が返せない」レビュー 
http://blog.goo.ne.jp/posse_blog/e/53331dcfa486873ab62101d629fff229

■英語学習に関しては、昔と今では環境が、全く変わった。大学生にとって、英語は基本的に自ら使いこなし、その結果学ぶものである。 

・大学生であれば基礎的な英語力はある。基本姿勢としては「英語を勉強する」のではなく「英語を使う」こと。そうすれば結果的に英語も学べて身につくし、知識も深くなり、人脈も広がる。Don't study English. Use it!

 英語を「使う」ためには、以下の項目をうまく活かせ。


(1) 「楽しい」を活かす
・「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」--まずは圧倒的に「楽しい」という感覚から入ろう。
関連記事: 映画を繰り返して見て、ついでに英語を身につけよう 
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2012/04/blog-post_09.html


(2) 「好き」を活かす
・自分の趣味に関しては徹底的にマニアックに英語で読み・聞こう。例えばただ"X is not just elegant but exquisite."と、何の思い入れもないXについてこのような例文を聞いても、"elegant"や"exquisite"の語感は感じられない。しかしクラッシック音楽好きにとっては"Haydn is perfectly elegant, and I love his works so much. But Mozart is more than that; he is exquisite."といった例文は本当に心に響いてくる。心に響いた表現しか身につかない。 
・時々、映画を見ても面白くないし、自分で好きなことも特にない、といったパサパサの心身しかもたない学生さんがいる。小手先だけの暗記ばかりの学校教育で瑞々しい感性を失ってしまったのであろうか。そんな人は、まずは心身の感性を取り戻して欲しい。というより、感性の基礎がなければ何事も身につかない。


(3)背景知識を活かす 

・日本語で既に知っているニュース、あるいは読んだことがある小説・物語を英語で読んでみよう。 
参考記事: 安い・早い・うまいの吉野家風英語上達術
http://getnews.jp/archives/189557   
・また教英図書室にはPenguin Readersのように英語初学者向けに書かれた本がたくさんあり、借り出すことができる。簡単な英語を多読することは有効な学習法である(難しい英語を多読しようとしても、結局、きちんと読めず量も進まないので自己満足に終わる。多読は、自分では簡単過ぎるぐらいに思えるレベルから始めるべし。) 
参考記事: 多読で英語に親しみませんか?
http://www.seg.co.jp/sss/learning/index.html 
・正直、自分で本や新聞を読む習慣のない学生さんは、背景知識がおそろしく乏しい(そしてその背景には知的感性が枯渇しているという心身の貧困がある)。遠回りのように見えても、まずは日本語で広く深く読書しよう。 
・その意味でお勧めしたい習慣形成は、毎週決まった時間に必ず図書館に行き、そこで本を自分で選び読みかつ借りて帰ること。たとえ完読できなくてもよい。書架のたくさんの本の中から自分で一冊を選ぶという行為によって、あなたの知的アンテナが形成される。


 (4)自動システムを活かす
 ・ICT (Information Communication Technology)によって、情報は「自分で収集する」ものというより、むしろ「勝手に集まってくるものを自分で捨てて本当にいいものだけを選ぶ」ものになったと言える。自動情報システムを自分用に作り上げよう。
関連記事: ウェブで英語を自学自習し、豊かな文化社会を創り上げよう!
 http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2010/05/blog-post_31.html
Google Reader + Twitter + Evernote + Chromeの相乗効果が創り出す新しい知の生態系
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2010/10/google-reader-twitter-evernote-chrome.html


(5)人を活かす

 ・「あなたにとってよい友人の友人は、やはりあなたにとってもよい友人となる」ことが多いように、「あなたにとってよい情報源である人が信頼する情報源である人は、やはりあなたにとっても新たなよい情報源となる」ことが多い。 
これは本の著者やブログのライターにおいても同じである。よい情報源を見つけたら、その情報源がいいとする情報にはとりあえず注目せよ。そのうちにその情報源の癖やあなたとの相性がわかってきて、情報が効果的に得られる。 
この点で、柳瀬が発する情報源を、あなたにとってのよい情報源と私から言うのは、いくらなんでもおこがましいが、TwitterやGoogle+といったSNSを、仲間内のつぶやきでなく、情報発信源として使う例もあるということで、よかったら以下を参照されたい。そして、あなたにとって有益な情報源を見つけてフォローしてほしい。
柳瀬のTwitter(日本語と英語での情報発信)
https://twitter.com/#!/yosukeyanase
柳瀬のTwitter List: Essentials (厳選した柳瀬にとっての英語情報源)
https://twitter.com/#!/yosukeyanase/essentials
柳瀬のGoogle+ (英語での情報発信。Twitterよりもさらに精選)
https://plus.google.com/u/0/111182176762120375601/posts

・他人から有益な情報を提供してもらうための有効な方法の一つは、自分自身ができるだけ他人に親切な形で良質の情報を提供し続けること。そのために自分でブログやSNSを運営してもいいだろう。また、ぜひ次のプロジェクトに参加してもらいたい。
英語動画で高度な英語説明力をつけよう!
http://greatpresentationvideos.blogspot.jp/
 このブログの目的説明と読者の皆さんへのお願い
http://greatpresentationvideos.blogspot.jp/2011/04/blog-post.html



(6)自分が知っている英語を活かす 

・日本人英語学習者の多くは、英単語と日本語訳語を対にして丸暗記することを語彙学習だと勘違いしている。そんな学習法ではなかなか記憶が定着せず、また仮に記憶に残ったとしても、自分の心身の変化に応じて自由に使いこなせない、つまりは「身についていない」ことがわかっているはずなのだが、丸暗記法に固執する。(時に、「いや、先生、オレにはこれしかないっす!」と断言する学生さんがいるが、私からすればこれこそ「稚心」の一例である)。 
 ・英語の単語を孤立した点の集合としてではなく、相互が緊密に結ばれたネットワークとして学べ。「単語は例文で覚えろ」ぐらいはよく言われたはずが、それだけでなく「単語は英英辞典で調べる」ことを鉄則にせよ。最初の数カ月は、なかなか使いこなせないかもしれないが、使いこなすうちに、英語の単語と単語が線や網になって結びついてゆき、やがては自分で一つ英単語を口にすると、それにつられて自然に他の英単語が出てくるようになる。それが「英語で考える」ことであり、「英語で話す」こと。高い英会話スクールや留学プログラムに憧れるよりも、地道に英英辞典を引き続ける習慣を身につけよ。

・なお英英辞典は、最初は学習者用のものを勧める。だがだんだん英語力が上がってくると、学習者用では語義の説明や掲載語数の点で満足がゆかなくなり、一般向けの英英辞典を使いたくなり、また使い始めるとそちらの方が心地よくなってくる。そのように英語で英語を学べるようになったら、おめでとう。免許皆伝です。あなたはどんどん英語を使えるようになり、かつその英語使用が相乗効果を引き起こし、英語力、知識、人脈が飛躍的に拡大するでしょう。その日を目指して、まずは学習者英英辞典を引き続けてほしい。継続は力なり。自分に才能がないと思うのなら、努力を継続せよ。

 ・以下はある学生さんの感想。
授業の中で触れられた単語の話や英英辞書の大切さについて振り返りたいと思います。まず単語帳で覚えたら、英語そのものじゃなくて訳された日本語を覚えてるという感覚に最近気づきました。対訳された日本語でしか覚えてないために、日本語の表現が変わるとその単語がどちらも表していると認識できないという現象が起こるのです。つまり日本語と英語の単語帳の中の一対の関係しか得られないと思うのです。言語はその言語でしか得られないニュアンスがあると思います。だから、アウトプットしようとした時にその日本語の訳でしか覚えてないから自分が表現したいことが出てこず、浮かぶのは日本語のまま。すっごく悩むくせに解答例を見て、こんな簡単な単語でいいの?と思うこともあります。その点英英辞書は英語で説明されているから日本語で覚えてまたその説明を英語に訳すという過程抜きで直接その言葉を理解できるものだと思います。


■私からすれば不思議でしょうがない学生さんの言葉と、それに対する私の考え
・「ワタシは、本当は○○大学に入りたかった。本当のワタシはこんなところにいるような人間ではない。」 
⇒でもあなたは今のところ広大にいる。手始めに広大/教育学部/教英でトップに立ったらどうですか。10年に一度の逸材と言われたらどうですか。(ただし、もし例えば本当は医者になりたいなどと、決意が固く、広大教英とその進路希望のミスマッチが甚だしいなら、チューターなどと相談してください。) 
・「自分としては広大に来られて満足している。」 
⇒広大に入学しただけでは何の証明にもなりません。せいぜい受験学力が多少あったぐらいのことです。ある程度の受験学力は本質的な学力の必要条件かもしれませんが、十分条件でも必要十分条件でもありません。 
・「周りは英語をペラペラ話せるのに、自分は話せない。今まで英語の成績はよかったのだが、これでは、これまでの学校の英語の勉強はすべて無駄であったと結論せざるをえない。」 
⇒よくある思い違いです。ペーパー上の学力がある人は、きちんと英語の基礎訓練(ディクテーション、レシテーション、多読など)を地道に重ねていれば、大学時代の後半からたいていの場合、きちんと話せるようになります。しかもそのような人の発話は、文法的にも内容的にもしっかりしている場合が多いです。 
逆に怖いのが、高校時代まで会話の訓練ばかりしていた人です。この人達は入学当初は「話せる=英語ができる」と思われがちですが、その後、日本語と英語での読書を怠っていると、だんだんと自分の英語には深みがないことが周りにも明らかになってきます。さらに重要なことに、就職のためなどの各種試験においても、読書力不足から点が取れず、思うように就職できなかったりします。「英語力=ペラペラ話せること」という通俗概念は今すぐ捨ててください。 
・「ボクは英語でなく、人間性で勝負する教師になりたい。」 
⇒人間性を売り物にするというあなたは、自分を釈迦かイエス級の人物だと思っているのですか。人間性を高めるというのは、人間が人間である限り誰もが行わなければならないことです。英語教師だろうが、ビジネスパーソンであろうが、主婦であろうが、公務員であろうが、誰もが人間性を謙虚に高めなければなりません。   
人間性は売り物にはできません。人間性はあって当たり前、そして逆に不完全であるのが人間です。あなたの人間性が、売り物になるほど高いものと考えたら、それは逆に危険ではありませんか? 
英語教師だったら、まず英語ができるようになってください。「自分がよくわかっていないこと・よくできないことは、教えない」という当たり前のことを守るためには、まずは英語ができるようになることが必要になります。
関連記事:入学式挨拶:「『学ぶ』ということを学ぶ」、「自分がよくわかっていないこと・よくできないことは、教えない」 
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2012/04/blog-post_04.html
・「暇で暇でたまらない。誰か遊んで下さい。」 
⇒自分自身で自分を退屈に思うような人は、他人からも退屈に思われるのではないでしょうか。まずは自分で自分の生活を面白くすることを考えてみてはどうでしょう。ちなみに面白く遊ぶためには、相当深く学んでおくことです。そうすれば将来忙しい社会人になったときにでも、短時間で友だちができます。 
・「新書は難しくてわかりません。さっぱりわかりません。」 
⇒新書なんて入門書です。知的職業についている社会人に、そんな台詞は許されません。 
・「先生が薦めてくれた本は1,200円もするから高いです。」 
⇒・・・・(絶句) 
・「何の本を読んだらいいのかわかりません。教えてください。」 
⇒日本は情報のない国ですか?広大入学式の時に何の本をもらいましたか?大型書店や図書館には様々な情報があります。ネット上にもかなりの情報があります(アマゾンのカスタマーレビューも便利です)。また私のブログ・ホームページの「読書」も参考にしてください。 
・「いろいろな情報がありすぎて、私は何を読めばいいのかわかりません。どの本を読めばいいのかきちんと教えてください。」 
⇒あなたは自分の恋愛対象も他人に教えてもらいたいと思うタイプですか? 
・「これ一冊だけ読めばOKという本を教えてください。」 
⇒あなたは世界がそれだけ単純だと思っているのですか? 
・「英語を使った華やかな仕事に就きたい。」 
⇒仕事はあなたの好きなことをすることではありません(職場はディズニーランドではありません)。第一、あなたの英語力はどんなものですか?私の経験では、英語を勉強しない学生に限ってこのようなことを言い出します。まずは最低英検一級、TOEFL-ITP600を取ってください。
関連記事: 英語専攻生はTOEFL ITPを受けよう 
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2012/04/toefl-itp.html
・「頑張ってネイティブ発音を身につけたい。」 
⇒たとえあなたが10年間必死に努力してもせいぜい「英語国に数年いたのかな?」と思われる発音を身につけるだけです。そんな人は世界中に山ほどいます。人々はあなたの発音には興味ありません。あなたが話す話の内容に興味があります。「英語ペラペラ」は別にかまいませんが、「頭の中身もペラペラ」にならないようにしてください。 
・「大学生活の目標は英検一級合格です。」 
⇒それはせいぜい「英語バカ」になるぐらいです。「専門バカ」ですらもありません。大学生は「専門バカ」から脱皮して卒業する必要があります(もちろん「英語バカ」でも「専門バカ」でも、単なる「バカ」よりはいいのですが・・・)。英検一級合格などは単なる一つの通過点と考えてください。 
・「この授業は英語教師になるためには難しすぎて不必要なことを教えている。」 
⇒教員は二十年、三十年と英語教育について考え、研究し続けてきました。その結果のごく一部を精選して授業で教えています。二、三十年考え研究してきた者の判断を、英語教育について学び始めたばかりの者が裁断できるという理屈を私は理解することができません。 
・「ボクはもともと理系なので、本を読むのはやっぱり苦手です。数学なら得意なんですけど・・・」 
⇒高校生時代のあなたの成績は、文系科目より理系科目の方がよかったのかもしれませんが、あなたは大学で理系科目をほとんど勉強していないのですから、今のあなたは理系でもなんでもありません(第一、統計学や実験計画ですら理解していないではないですか)。それでいて本も読めないなら、理系でも文系でもない単なる○○です。 それに間違えないでください。多くの理系の人間は、文系の人間よりはるかに多くの英語論文を正確に読んでいます。見映えだけの「英会話力」以外の英語力では、理系の人間の方があなたよりはるかに高いことも時にあります。 
・「バイト先での責任があるから勉強できない。」 
⇒経済的必要性以上のバイトを、ただNoと言えないから続けていませんか?バイトでいい社会経験を積んでいると思っていませんか?集中して勉強できる若い日々という貴重な財産を、一時間あたり数百円で売り飛ばしているだけではありませんか? あるいは自分できちんと断ることができない主体性の無さを、「私って結構イイ人」とごまかしているのかではないですか? 経済的必要性以上のバイトは私はあまり勧めません(深夜のバイトや、風俗賭博関係のバイトは別の理由で、学生はやるべきではないと私は強く思っています)。 なお経済的必要性からバイトをやっている人、私も学生時代はそうでした。応援します。短時間で質の高い勉強をしてください。 
・「大学時代は適当に遊んで、大学院で勉強したい。」 
⇒大学院のレベルは、大学以上のものです。勉強していない人が大学院に来ると、お互い大変に苦しい思いをしなければなりません。勉強したいなら今してください。というより学生の責務は勉強です。 
・「親もいいって言っているから、しばらくは進路を決めません。」 
⇒あなたは自分で自分の人生から逃れようとしており、それを親のせいにしていませんか? 現代社会の厳しい側面も知っておいて下さい。 
・「今は勉強とかしていないけど、将来は留学とかして、国際関係論とか勉強して、ジャーナリストとかになりたい。」 
⇒あなたは日本語の新聞や書籍を読んでいますか?というより読めますか? ついでながら聞きますと、なぜあなたは「とか」という表現を多用するのですか? 
・「・・・・・」(私が問いかけた「大学で取得した単位のうち、本当に自分のためになった単位は何単位?」の問いに対しての多くの学生さんの反応) 
⇒あなたは「楽勝」単位ばかり選んで、得をしましたか 
・「職場では誰も何も教えてくれないんです。」(ある卒業生の言葉) 
⇒当たり前です。職場では必要最小限の研修以外は基本的に誰も積極的かつ親切にあなたに仕事のやり方を教えてはくれません。学校ではあなたは授業料を払っているという意味で「お客さん」でしたから潤沢な教育サービスを受けることできましたが、職場ではあなたは(逆に)給料をもらって働いている「労働者」です。給料ももらって教育サービスも受けられるなどといった贅沢は世間では期待できません。だからこそ学校時代に、社会人としても自立できるだけの基礎学力・勉強の仕方を学んでおくのです。   
もちろん新人は職場の先輩に質問をすることは許されます。しかし二度も三度も同じようなことを聞く新人はいい顔はされません。尋ねる前にまずは自分で考え、調べること。それでどうしてもわからなかったら丁寧かつ簡潔に尋ねることが社会人には要求されています。


■その他、気をつけるべきこと
・20歳の誕生会での一気飲み。 
・学生同士の付き合いにNoが言えず、体調を壊す。 
・サークル活動への逃避。 ・深夜の帰宅やバイト。 
・賭博・風俗関係などのバイト。 
・借金。奨学金返済についての無理解。 
・うつ状態などの精神的トラブル。 
・「何気ない」軽犯罪、カンニングなど。 
・クレジットカード情報などを軽率に他人に知らせる。 
・とにかく打たれ弱い(あるいはプライドが異様に高い)ので、ストレスを避ける事ばかり考える。 
・困ったこと、自分の失敗などを他人に相談できず「大丈夫です」と言い続けているうちに破綻する。



■とにかく「お子ちゃま」のままでいないこと。お子ちゃま的内弁慶世界は、卒業と同時に暗転するだけである。 




■その他、お勧め記事



・まとまった文書の作成法 
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2012/01/blog-post_21.html 
・オメの考えなんざどうでもいいから、英文が意味していることをきっちり表現してくれ 
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2011/10/blog-post_21.html 
・英語子音の発音法のわかりやすい表記 
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2011/12/blog-post_09.html 
・英語教育系大学院生のための私家版リンク集 
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2012/04/blog-post_07.html


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