2015年7月13日月曜日

大学入試改革の方向性に関して: 文科省・広島県教委・東大教育学研究科からの講演者と高校教師・予備校講師・広大教育学研究科からのパネリスト 8/8(土)福山市



この度、広島大学大学院教育学研究科では、高等学校教員を対象に「大学入試改革の方向と これからの高等学校に求められるもの」について、指導力向上セミナーを開催します。

これからの大学入試は大きく改革される可能性が高まっている現在、このセミナーでは以下の講演とシンポジウムで、この件に関する高校教育関係者の理解を深めることを目指します。

皆様、ぜひご参加ください (参加無料。ただし事前申込みが必要)



■ 講演1
文部科学省 高等教育局 大学改革官 山口 良文氏
「大学入試改革の方向性について」
大学入試改革の大きな流れと最新情報を語っていただきます。

■ 講演2
広島県教育委員会 学びの変革推進課長 寺田 拓真氏
「広島版『学びの変革』アクション・プラン」
大学入試改革の流れに既に高校現場がどのように対応しているかを語っていただきます。

■ 講演3
東京大学大学院 教育学研究科 教授 中村 高康
「不安の時代における大学入試改革」
大学入試改革の流れを教育学的に検討していただきます。

■ シンポジウム
「変わる大学入試と受験指導― 高校現場に求められる教育改革 ―」
以下のメンバーで、忌憚のない議論をしていただきます。
司会 広島大学大学院教育学研究科 教授 山田 浩之
(1) 高校進路指導の立場から 広島県立福山誠之館高等学校 田中 謙次氏
(2) 予備校の立場から 河合塾 英語科講師 山添 玉基氏
(3) 大学の立場から  広島大学 高等教育研究開発センター 教授 大膳 司

日時:2015 (平成27)年8月8日(土) 10時~16時30分
場所:広島県民文化センターふくやま(広島県福山市東桜町1-21 JR福山駅から徒歩4分
入場料及び参加費: 無料です



詳しい情報は下記のサイトにアクセスしてください。





参加ご希望の方は、下記の専用受付サイトから登録をしてください(事前登録が必要です)。





当セミナーの実行委員の一人としましても、また、高校と大学の教育に深い関心をもつ一人としましても、皆様のご参加をお待ちしております。どうぞお誘い合わせの上、ご参加ください。










大学院生 平野洋平さんと佐藤龍一さんの活躍



出藍の誉れで私のゼミ生(博士課程後期)である平野洋平さんと佐藤龍一さんが活躍をしてくれていますので、ここで(親バカ的に)お披露目させていただきます。





平野洋平さん
優秀口頭発表賞を受賞


対象となった発表は、「日本語話者英語学習者による英語結果構文の容認度に影響を及ぼす要因」で、使用したスライドは以下の通りです。












平野さんは、このテーマで博士論文を仕上げるべく、今年度はあと三つ学会発表します。指導教官である私の悪い癖である早口で難しい口頭発表(苦笑)を引き継がずに、平野さんは、徹底してわかりやすい発表を行っています。「オーディエンスの理解したいという欲求を満たす」口頭発表を行い、「読者を知的に楽しませる」論文を書くのが彼のスタイルです。お時間があれば、ぜひ彼の発表を聞いてやってください。



(1) 言語科学会 第17回国際年次大会(JSLS2015)


・期日:2015年7月18日(土)・19日(日)
・会場:別府国際コンベンションセンター(大分県別府市)
・大会HP:http://www.jslsweb.sakura.ne.jp/jsls2015/wiki.cgi
・発表タイトル:日本語話者英語学習者による英語結果構文の容認度:主動詞の含意する結果状態の有無・主動詞の他動性が与える影響
・発表会場:Room 2: Conference Room
・発表日時:7月19日(日)、9:20-9:45






スライド







(2) 全国英語教育学会 第41回熊本研究大会






・期日:2015年8月22日(土)・23日(日)
・会場:熊本学園大学(11号館、12号館、14号館)
・大会HP:http://www.jasele41-kumamoto.org/
・発表タイトル:日本語話者英語学習者による英語結果構文の容認度:使役動詞makeを用いた迂言的相当表現と比較して:
使役動詞 make を用いた迂言的相当表現と比較して
・発表会場:第8室 (1152)
・発表日時:8月23日(日)11:00-11:25
・発表予稿:






(3)British Association for Applied Linguistics(BAAL Annual Meeting 2015)

・期日:2015年9月3日(木)-5(土)
・会場:アストン大学(バーミンガム・イギリス)
・大会HP:http://www.aston.ac.uk/lss/news/events/baal-annual-meeting/
・発表タイトル:Obstacles to the acceptability of English resultative constructions by Japanese EFL learners and their over-acceptance of the causative ‘make’
・口頭発表は9月3日 14:00-14:30







佐藤龍一さん
JASSOの奨学金を得て、
アリゾナ州立大学博士課程に留学



佐藤龍一さんが、JASSO(Japan Student Services Organization; 日本学生支援機構)の奨学金を得て、この8月からアリゾナ州立大学で学び、博士号取得を目指すことになりました。

この奨学金は、月12万円の生活費と年250万円が支給されるもので、競争も厳しく、佐藤さんは3年間の準備を経て見事勝ち取りました。その間には、2013年に開かれた国際学会The 12th Symposium on Second Language Writing で発表するなど、さまざまな経験をつみました。今のところの予定では、Paul Kei Matsuda先生(現在 American Association for Applied Linguistics; AAAL会長)に指導教員になっていただくことを期待しています。

日本から佐藤さんを送り出す私としては、将来有望な若い野球選手をメジャーリーグに送り出すような感覚です。彼がより広い世界で活躍してくれることを望むばかりです(そして、もし縁があったらいつかはカープの黒田博樹選手のように日本に戻ってきてほしいとも個人的には思っています)。





柳瀬ゼミでは、修士課程大学院生はもとより、優秀な博士課程後期大学院生を募集しています。指導方針としては、本人の良さを最大限に引き出すべく、私が共感的で建設的な批判ができる聞き手であり読み手であることに努めています。

ただ、博士号獲得は、修士号獲得よりはるかに困難ですから、受験を希望される方は、ぜひ私(もしくは指導を希望する教員)に予めメールなどで連絡を取ることをお勧めします。何度か会って研究計画をよく吟味し、「これなら行ける」と見込みがたってから博士課程後期を受験することをお勧めします。

また、修士論文を書き、何度か学会発表をした人も、存外に「論文とは何か」ということを突き詰めて考えていなかったりします。この思考を省くことは、長い目で見たらずいぶん遠回りしてしまうことにつながります。論文執筆に関しては、多くの良書がありますが、私としてはとりあえず以下の二冊を徹底的に自分のこれまでの論文執筆を思い起こしながら読むことをお勧めします。









関連記事 
川崎剛 (2010) 『社会科学系のための「優秀論文」作成術 ― プロの学術論文から卒論まで』勁草書房
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2012/02/2010.html

卒論・修論・博論の書き方を解説したサイト
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2011/10/blog-post.html

柳瀬旧ホームページ「教育」
http://ha2.seikyou.ne.jp/home/yanase/education.html

柳瀬現ブログ「教育」
http://yanaseyosuke.blogspot.com/search/label/%E6%95%99%E8%82%B2





 

2015年7月2日木曜日

「意味論の比較から考える小学校英語教育のあり方」(一般社団法人「ことばの教育」主催 講演会)のスライドを公表



7月4日の下記の講演会で使用するスライドをようやく完成させることができましたので、ここでも公開することにします。ご興味のある方はダウンロードしてください。講演会にご参加の方は予め印刷して講演会にもっていくと便利かと思います(今回は当日配布資料はありません)。















以下は講演会の詳細です。参加には予約が必要です。







一般社団法人「ことばの教育」主催 講演会

「小学校英語でどんな力を育むか---あるいは、どんな力を育もうとしてはいけないか」


小泉清裕氏(昭和女子大学附属昭和小学校)
柳瀬陽介氏(広島大学)
大津由紀雄(明海大学、本法人代表理事)

■ 時程
7月4日(土曜日)
郁文館夢学園 220号教室
15:00 - 15:10  開会
15:10 - 15:40  小泉氏講演
15:40 - 16:10  柳瀬氏講演
16:10 - 16:40  大津代表理事講演
16:40 - 17:00  休憩
17:00 - 17:30  3人談義
17:30 - 18:00  フロアとのやりとり
終了後、学内食堂にて懇親会あり


■ 各講師の演題と概要

小泉氏
演題:小学校英語と出合って20年―その間に考えたこととやってきたこと
概要:1994年度から、私個人の意志ではなく、学校の都合で小学校英語教育に足を踏み入れ、それから20年以上が経ちました。この20年間に、小学校英語教育の波は日本中に広がり、2020年度からの新しい展開に向けて急速に動いています。しかし、今進もうとしている道は、20年前に私が実践し始めた時に歩んだ、「間違った道」と同じ道のように思えてなりません。恐ろしいことに、どんな道でも皆で歩めば「間違った道」とは感じなくなってしまいます。全国の680万人の小学生にとって、彼らの20年後に活きる小学校英語教育にするために、大人たちが何をして、何をすべきでないかについて私の考えをお伝えします。

柳瀬氏:
演題:意味論の比較から考える小学校英語教育のあり方 ―子どもの未分化の統合的な力を分断してはいけない―
概要:初等教育では教科担任制をとらず一人の担任教師がほぼすべての時間を担当することの背景には、子どもの知性・感性がまだ大人のように分化していないことがあります。子どもの力は、未分化のまま統合的である方が、その後の人生での成長のためには重要であると考えられます。しかし、外国語としての英語教育では、言語学の伝統的な意味論の考え方が強すぎて、英語の意味はもっぱら指示(reference)の問題として授業が展開されがちです。今回の講演では、ダマシオ、デューイ、ルーマンの意味論を提示し、子どもが英語を「あたま」で覚えるのではなく、「こころ」と「からだ」で丸ごと経験できるような授業を行うための基礎理論を提示します。岩波ブックレット『小学校からの英語教育をどうするか』の第一章の議論の発展編なので、できれば同書を予めお読みいただければありがたい限りです。

大津代表理事
演題:やはり、小学校英語はやらないに越したことはない。しかし、そうは言っていられない小学校の先生がたへの応援歌
概要:わたくしは小学校英語に関して、それが活動型であれ、教科型であれ、その導入に一貫して反対してきました。いまでも、その考えに変わりはありません。実際、英語狂想曲はその騒々しさを増す一方です。同時に、《災い転じて福となす》をスローガンに、現実的な対処方法を探るとともに、小学校英語導入を年来の主張である言語教育の実現へ向けた第一歩とする方策を模索してきました。今回の講演では、柳瀬・小泉『小学校からの英語教育をどうするか』に触発されたところをもとに、「ことばへの気づき」育成のために英語をどう利用することができるのかを考えてみたいと思います


■ 講演者紹介

小泉清裕(昭和女子学附属昭和小学校校長)
専門は英語教育。幼稚園から大学院まですべての部門で英語教員の経験あり。『子どもと親と先生に伝えたい現場発!小学校英語』(文溪堂、2009年)、『小学校英語活動ネタのタネ』(アルク、2011年)、NHK教育テレビ『スーパーえいごリアン編集委員。Eテレ『プレキソ英語』(2011年度~2013年度放送)監修。

柳瀬陽介(広島大学大学院教育学研究科教授)
専門は英語教育学。『第二言語コミュニケーション力に関する理論的考察』(渓水社、2006年)、『成長する英語教師をめざして一新人教師・学生時代に読んでおきたい教師の語り』(共編著、ひつじ書房、2011年)、『英語教師は楽しい-迷い始めたあなたのための教師の語り』(共編著、同、2014 年)ほか、ブログ「英語教育の哲学的探究2」を運営。

大津由紀雄(明海大学教授、慶應義塾大学名誉教授)
専門は言語の認知科学。『英文法の疑問---恥ずかしくてずっと聞けなかったこと』(2004、NHK出版(生活人新書))、『小学校での英語教育は必要か』(2004、編著 慶應義塾大学出版会)、『英語学習7つの誤解』(2007、NHK出版(生活人新書))、『ことばの力を育む』(2008、共著 慶應義塾大学出版会)、『学習英文法を見直したい』(2012、編著 研究社)、『英語教育、迫り来る破綻』(2013、共著 ひつじ書房)、『学校英語教育は何のため?』(2014、共著 ひつじ書房)

参加費:一般の方1,000円 ことばの教育会員、学生、大学院生 無料
懇親会費:3,000円

参加希望の方は、事前に、柳瀬陽介・小泉清裕『小学校からの英語教育をどうするか(岩波ブックレット922)』(2015年、岩波書店)を読んでおかれることをお勧めいたします。

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